文京区S邸リノベーションBunkyoku S Apartment

文京区S邸リノベーションBunkyoku S Apartment

場 所
東京都文京区
築年数
10年
面 積
290㎡(88坪)
総費用
24,000万円(工事費)/施主支給(家具)/3,600万円(設計料)

本物素材と光がつくる、静けさの住まい

都心の中低層住宅ならではの落ち着いた環境に建つこの住まいでは、住まい手の繊細な美意識に寄り添いながら、素材の質感と光の表情を大切にしたリノベーションを行いました。空間の構成自体はシンプルですが、そこに用いた素材はすべて本物にこだわり、静かで深い豊かさを感じられる住まいを目指しています。

たとえば、キッチンには厚さ50ミリもの無垢の大理石カウンターを採用しました。コーティング無しで仕上げることで、使い込むほどに味わいが深まり、時間とともに変化していく素材そのものの魅力を楽しめるようにしています。カウンターに合わせる2つのシンクもイギリスから取り寄せたこだわりの素材のシンクです。キッチンや浴室の壁面にはモロッコ製のゼリージェタイルを採用。日本ではほとんど例のないこの手づくりのタイルは、かすかにゆらぎのある表情と、釉薬の光沢が光を受けて柔らかく反射し、空間に静かなリズムを生み出します。

室内のディテールには真鍮色の金属フレームやカーテンポールを取り入れ、落ち着いた色調の中にさりげない輝きを添えています。カーテンにはリネン素材を選び、風にふわりと揺れる様子が、空間に自然の気配を感じさせてくれます。こうした細部の選定においても、「飾らない上質さ」と「時間をかけて育てていく美しさ」を意識しました。

全体としては、大きなデザインの主張を控え、光と影、素材と空気感が織りなす「引き算の空間」。住む人の暮らしが中心となるよう、動線や収納、水まわりの使い勝手にも丁寧に配慮しています。本物素材が醸し出す静けさの中に、時を経るごとに愛着が深まる住まいとなりました。

(2025年7月1日更新)

LDK-1

約70平米の広さのリビングダイニングキッチンには、施主支給品の米国製ソファやダイニングセット、英国製のペンダント照明がレイアウトされています

LDK-2

リビングの奥まった壁に本棚と収納を造作して、そこに壁掛けテレビを設置しています

LDK-3

玄関入って正面にダイニングセット、右側にキッチン、左側にソファのあるリビングという構成になっています

LDK-4

長さ2800ミリ、奥行き1100の大きなダイニングテーブルですが、その奥の長さ4000、奥行き1400の大きなキッチンアイランドカウンターがあるので、ダイニングが小さく見えますね

キッチン-1

キッチンのアイランドカウンターは天然大理石ビアンコカラーラ厚み50ミリのものを使っています。シンクも無垢大理石から掘り出したシンク(英国製)です

キッチン-2

通路幅1400で床仕上げは天然大理石トラバーチンのアンティーク加工品です。正面壁のガラス扉の奥はパントリー室です

キッチンのシンク

キッチンのシンクは2つ用意しています。アイランドカウンターのシンクは無垢大理石、L字カウンターのシンクは腐食加工をした銅製です

キッチン-3

L字型カウンターの壁はモロッコ産のゼリージェタイルを貼っています。カウンター右奥には全てビルトインのオーブンと冷蔵庫と冷凍庫とワインセラーが並んでいます

キッチンパントリー

キッチンパントリーも単なる食品庫と考えず、調理機器を並べるカウンターはキッチン本体とほぼ同じ仕様にし、ガラス扉付きの収納はきれいなコーヒーカップ等の収納、奥のL字型部分はびん類や缶類の食品を置く棚と使い勝手と仕様を分けてデザインしています

LDKのビフォーアフター

リノベーション前は床はタイル張りで暗めのスタイリッシュ系の空間でしたが、リビング奥の洗面をキッチンに取り込んで、全体をウッドフローリングと柔らかい色調の塗装仕上げにすることで暖かみのある空間へと大変身しました

主寝室奥の洗面とシャワー

キッチンカウンターと同じ天然大理石のビアンコカラーラと木製框扉を組み合わせたご夫妻用のシンクです。左奥にはブロンズフレームの中にシャワールームがあります

シャワールーム

モロッコ製のゼリージェタイルを全壁面に貼った白くて透明感があるシャワー室。金物類は全てブロンズ色で揃えています

家族用洗面と浴室

家族用の洗面も、ご夫妻用と似た仕様になっていますが、こちらは自然光が窓から入る空間となっています

家族用洗面カウンター

木製框扉で、所々にリブ加工パネルを落とし込んだ作りの洗面カウンターです。脚を工夫して、造作家具ながら置き家具のように見せるデザインとしています

家族用浴室

ゼリージェタイルと置き型浴槽を使った珍しいオーダーユニットバスです。

主寝室

大型ベッドと書棚のある主寝室です。カーテンはリビングダイニングと同じくベルギー製のリネンです

ウォークスルークローゼット

通り抜け型のクローゼットは全てオークで作ったシンプルな構成です

土間

家族用の入り口があるエリアは土足歩行可能な土間(マッドルーム)仕様となっています。お子さま達の学校のカバンやコート掛けやミニベンチを設けています

お子さまの部屋のリーディングニッチ

お嬢さまたちの寝室には、二人がすっぽりとハマるように座れる読書ニッチを設けました

来客用トイレ

緑のユニークな壁紙と置き家具のように見える手洗いカウンターで特徴のある来客用トイレ

ランドリースペース

自然光が入らないランドリールームも緑の壁紙と框仕様の扉で可愛らしく仕上げています

リビングダイニングのビフォーアフター-2

以前の玄関は、そこからリビングを通らずに個室へとアプローチできる作りとなっていましたが、その分玄関ホールが大きく、リビングダイニングを圧迫していました。また以前のキッチンは部屋の隅にあり、見通しが効かない場所でした。リノベーションでは玄関をスケールダウンして、その分リビングダイニングを広くし、かつての洗面所を取り込んだ、見通しの良いコーナーにオープンキッチンを設けています